DX人材が足りない85.5%。大分の社長が9月のAI研修に出す前に確認すべき3つ
「人が足りないから、誰かを研修に出そう」と考えている社長は、大分でも少なくありません。9月から、県内向けの実践プログラムが大分市内で始まります。一方で全国調査を見ると、AIは社内の文書作業までは速くなるが、売上には届きにくい、という構造が続いています。申し込むかどうかより先に、戻ってきた人に何を任せるかを決めておく必要があります。
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大分で始まる全10回のDX・AI人材育成
株式会社大銀経済経営研究所と公益財団法人ハイパーネットワーク社会研究所は、大分県内事業者向けに「DX/AI人材育成実践プログラム」を実施します。期間は2026年9月1日から2027年2月9日まで、全10回です。会場は大分銀行宗麟館5階大会議室(大分市東大道)。時間は13時から17時の予定で、定員は30名、1社あたり2名程度です。パソコン持参と、Googleアカウントを用意できることが条件です。
受講料は税込22万円です。大分市の中小企業経営力強化促進補助金(人材育成応援事業)を使うと、自己負担は12万円と案内されています。カリキュラムは、生成AIの定着と業務フローの可視化から入り、GeminiやNotebookLMの演習、導入戦略とリスク管理、最後は自社業務で使える成果物の発表まで組まれています。ツールの操作を見るだけでなく、自社の仕事に結びつける設計です。
参加そのものが悪いわけではありません。問題は、受講者が戻ったあとに「学んだ話」で終わり、現場の手順が変わらないケースです。定員30名は、意欲のある会社ほど枠を取りにいきます。だからこそ、申し込み前に自社の宿題を決めた方が、22万円と半日×10回の時間は回収しやすくなります。
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全国1,799社の調査が示す、効率化と売上の差
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は2026年7月16日、国内企業1,799社を対象にした「DX動向調査」(実施期間:2026年4月17日〜6月12日)のポイントを公表し、同月下旬に報告書「DX動向2026」を公開しました。AI導入率は、従業員1,001人以上で78.3%、101人以下の区分では16.6%です。大分の多くの中小企業は、後者に近い位置にいます。導入していないことが恥ではありません。規模による差が、調査でもはっきり出ています。
効果が実感できた企業に、中身を尋ねた結果が重要です。「業務が効率化したり迅速化した」は91.6%です。一方、「売上や利益が向上した」は3.9%、「顧客満足度が向上した」は4.5%です。「残業時間の削減につながった」は29.2%で、作業が速くなった実感ほど、支払いの減少にはつながっていません。用途も社内作業に偏っています。文書の要約・翻訳・校正が82.5%、文書・レポート作成が80.5%、情報検索・収集が77.0%。自社製品・サービスの高度化は10.9%です。
DXを推進する人材の「量」について、「やや不足」と「大幅に不足」を合わせた割合は85.5%です。過去数年、高い水準のままです。研修に出せば不足が解消する、という話ではありません。足りないのは人数だけでなく、変える業務と、戻ったあとの役割が言語化されていないことです。必要なスキルを把握できていない企業が過半数、という整理も調査では示されています。人がいないから研修、ではなく、何ができる人を何人、どの業務に置くかを先に書いた方が、講座の成果物も具体になります。
比較すると、次のような差があります。
項目:大企業(1,001人以上)のAI導入
内容:78.3%。専任や情シスがいる前提で、ツール導入が進みやすい
項目:中小規模(101人以下)のAI導入
内容:16.6%。現場と社長が兼務しやすく、講座に出しても戻ったあとが空になりやすい
項目:効果の中心
内容:効率化・迅速化が91.6%。売上・利益は3.9%。研修の目標を「使えるようになる」だけにすると、この分布に入りやすい
項目:人材の量
内容:不足感85.5%。1人を10回出しても、社内の手順と権限が変わらなければ不足は残る
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申し込む前に、社長が確認すべき3つ
【1】半年間で変える業務を、1つに絞る
講座は成果物の発表まであります。テーマが「とりあえず生成AI」だと、要約と文書作成の演習で終わりやすく、全国調査と同じ社内用途に回収されます。社長が先に決めるのはツール名ではなく、週あたり何時間かかっている作業かです。見積の下書き、日報の整理、問い合わせメールの一次案、現場日報の転記など、実物があるものに限ってください。顧客向けの公開物や、取引先の機密を入力する作業は、最初の題材から外した方が安全です。
- 対象業務の名前と、いま週何時間かかっているかを書いた
- 10回終了時点で残す成果物(手順書、プロンプト、確認者)を1つ決めた
- 顧客情報や未公開の価格を、演習用データに使わないと決めた
【2】戻った人の役割と、社長の関与を先に決める
1社2名まで出せます。よくある失敗は、一番パソコンが得意な若手だけを出して、決裁と現場の手順は誰も動かさないことです。受講者は「社内の通訳」であり、全業務の担当者ではありません。戻ったあとに、どの会議で何分話すか、誰が試用の可否を決めるか、使ってよいサービス名を誰が管理するかを決めておきます。情シスがいない会社ほど、社長が初回と最終回の前後だけでも同席した方が、投資の意味が社内に残ります。
- 受講者の役割を「推進役」と書き、現場の作業担当と分けた
- 試用の可否を決める人(社長または部門長)を1名にした
- 10回のあいだ、社内共有の日程をカレンダーに入れた
【3】22万円と半日×10回の、回収条件を数字で置く
税込22万円、補助後でも12万円です。半日×10回は、受講者の人件費も乗ります。回収の物差しは「AIがすごい」ではなく、対象業務の時間です。いま週8時間かかっている作業が週6時間になれば、月あたり約8時間です。その時間が次の雑務に消えると、効率化の実感だけが残り、残業も売上も動きません。行き先を、見積の提出件数、訪問件数、請求の締め日など、既存の数字に結びつけてください。期待どおり以上の効果は、調査では3割前後です。最初から「全社変革」を掲げると、一定の効果で終わりやすくなります。
- 補助の対象になるか、大分市の人材育成応援事業の条件を確認した
- 対象業務の削減時間と、その時間の行き先(営業・現場・請求など)を書いた
- 使わないと判断する期限(例:第7回の導入戦略の前後)を決めた
株式会社コラボでは、社長の壁打ちとして、研修に出す前の「変える業務・戻ったあとの役割・回収の数字」を、現場の実物に沿って整理しています。講座の申込用紙を埋める前に、社内の1枚メモがあるかどうかが分かれ目です。
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まとめ:一言で言うと
大分では9月から、全10回・定員30名のDX・AI実践プログラムが始まります。全国では、DX人材の量不足が85.5%、AIの効果は効率化91.6%に対して売上向上は3.9%です。人を出すこと自体は選択肢です。先に決めるのは、半年間で変える業務1つ、戻った人の役割、時間の行き先です。それが空のまま申し込むと、22万円は「受講した記録」で終わりやすいです。
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参考:独立行政法人情報処理推進機構「国内企業のDX動向・AI活用動向のポイントを公表」(2026年7月16日)/同「DX動向2026」(2026年7月30日公開)/公益財団法人ハイパーネットワーク社会研究所「DX/AI人材育成実践プログラム」(開催期間:2026年9月1日〜2027年2月9日)