中小企業の38.7%が方針未定。大分の社長が生成AIを顧客向けに出す前に確認すべき3つ
人手不足のなか、生成AIでSNSやチラシの下書きを急いでいる会社は、大分でも増えています。今日は大分商工会議所でも、Googleビジネスプロフィールと生成AIを組み合わせた集客セミナーが開かれます。一方で同じ18日、国は生成AIの学習データ開示を促す指針案を了承しました。罰則はありません。だからこそ、顧客向けに出す前の線引きを社長が決めておく必要があります。
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政府が了承した知財指針は、誰向けの話か
2026年8月18日、内閣府の「AI時代の知的財産権検討会」は、生成AI事業者向けの知財保護に関するプリンシプル・コード(基本指針)案を大筋で了承しました。時事通信が同日報じた内容では、学習データや収集方法の公開を事業者に促し、近く決定する、とされています。読売新聞によると、政府は今秋にも適用を始める考えです。
対象は、生成AIのシステム開発者とサービス提供者です。日本向けに提供する海外事業者も含まれます。罰則はなく、法的拘束力もない行動指針です。受け入れる事業者はウェブサイトで公表し、政府に届け出たうえで、原則を実施するか、実施しない理由を説明する「コンプライ・オア・エクスプレイン」で対応します。柱は、学習データの概要公開、権利者への開示、AI利用者への開示の3つです。営業秘密などの強制開示は求めない、と明記されています。
大分の中小企業の多くは、ChatGPTなどを「使う側」です。指針の直接の名宛人ではありません。ただし実務では、取引先や顧客から「その画像は何で作ったのか」「うちの写真をAIに入れていないか」と聞かれる場面が増えます。国が透明性を求めるほど、使う側にも説明できる準備が要ります。
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中小企業は、方針が決まらないまま使い始めている
東京商工リサーチが2026年4月27日に公表した調査は、同年3月31日から4月7日にインターネットで実施し、6,327社が回答したものです。生成AIツールの業務活用について「方針は決めていない」は全体で37.5%と最多でした。前回(2025年8月)の50.9%からは13.4ポイント下がっています。一方、中小企業に限ると方針未定は38.7%。「個人で活用していることもある」が27.7%、「会社として活用を推進」は19.1%です。建設業では方針未定が47.3%に達します。
KPMGコンサルティングが2026年7月に発表した調査(同年5月15〜19日、2,788名)では、通信・情報サービスなどでは全社的なガイドラインがあると答えた割合が約6割でした。一方、サービス業(医療・福祉)や農林水産・建設業では、ガイドラインやルールは存在しないとの回答が65%以上です。大分の地場産業と重なる業種ほど、会社としての決め事が遅れやすい構図です。
今日の商工会議所セミナーは、広告費と人手を抑えつつ集客する実務が主題です。学ぶこと自体は有益です。ただし「作れるようになった」と「顧客の目に出してよい」は別です。方針未定のまま公開物だけが増えると、後から差し替えや説明が続きやすくなります。
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社内の下書きと、顧客向けの公開は別物
生成AIの用途を、公開範囲で分けると判断が楽になります。
項目:社内の下書き・要約
内容:議事録の整理、社内メール案、調査のたたき台。人が必ず直す前提なら、速度の効果が出やすい
項目:顧客向けの文章
内容:ホームページ、Googleビジネスプロフィール、SNS投稿、見積の挨拶文。誤字や事実誤認が信用に直結する
項目:顧客向けの画像・デザイン
内容:チラシ、メニュー写真の加工、バナー。既存作品に似ると指摘を受けやすい。商用利用の可否はサービス規約でも変わる
項目:納品物・受託成果
内容:顧客のロゴ、写真、原稿をAIに入れた場合、契約上の秘密と権利の両方に触れる。先に「使ってよいか」を確認する対象
文化庁の整理では、生成物でも既存の著作物と類似し、依拠が認められると侵害になり得ます。特定の作家やキャラクターを真似させる指示は、そのリスクを上げます。人間の手がほとんど入っていない生成物は、自社の著作物として守りにくい、という見方もあります。禁止が先ではありません。出す場所に応じて、確認の厚みを変える方が現場は動きやすいです。
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顧客向けに出す前に、社長が確認すべき3つ
【1】社外に出してよい成果物の範囲を、先に決める
「生成AIは使ってよい」だけでは足りません。社内メモまでと、店の顔になる投稿では、確認の責任者が違います。社長が今日決めるのは、公開の可否ではなく、公開までの手順です。誰が下書きし、誰が事実と見た目を確認し、誰が投稿ボタンを押すか。ここが空だと、速い人ほど先に出してしまいます。
- 社内利用と社外公開で、確認者を分けて書いた
- ホームページ、SNS、チラシ、見積、納品の5つについて、生成AIの可否を決めた
- 既存の作家名・キャラクター・他社ロゴを真似させる指示を禁止した
【2】入力してよい情報と、入れていけない情報を具体例で示す
指針が問うのは、主に学習データの透明性です。使う側が先に守るべきは、自社が預かった情報を不用意に渡さないことです。顧客の設計図、未公開の価格表、従業員の個人情報、他社サイトから拾った写真は、便利だからこそ事故になります。禁止リストは長くしすぎず、自社で実際に扱うものだけを列挙した方が守られます。
- 顧客から預かった写真・図面・名簿は、許可なく入力しないと決めた
- 私用アカウントでの業務利用を、原則として認めないとした
- 使ってよいサービスの名前と、商用利用の可否を確認した担当を決めた
【3】聞かれたときに、何で作ったかを説明できる状態にする
国の指針は、利用者側から「似た作品が学習データに入っているか」を尋ねる道も想定しています。中小企業が同じ開示を事業者へ日常的に求めるのは、現実的ではありません。自社でできる最小限は、公開物について「どのツールか」「誰が確認したか」「元データは自社撮影か」を残すことです。紙1枚、共有フォルダのメモでも足ります。納品物なら、受託契約でAI利用の可否を先に確認します。
- 顧客向けに出した生成物は、ツール名・日付・確認者を残す運用にした
- 似ていると指摘を受けたときの連絡先(社長または担当)を決めた
- 外注先が生成AIを使う場合、成果物の権利と責任の所在を書面で確認した
株式会社コラボでは、社長の壁打ちとして、生成AIを「社内の下書き」に留めるか「店の顔」に出すかの線引きを、業務の実物に沿って整理しています。ツールを増やす前に、公開範囲と入力禁止と記録の3点を言語化する場として使ってください。
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まとめ:一言で言うと
国の指針は事業者向けで、罰則もありません。それでも中小企業の38.7%は活用方針が未定のままです。大分でも、集客のために生成AIを使う機会は増えます。焦って投稿を増やすより、社外に出す範囲、入れていけない情報、聞かれたときの説明の3つを先に決めた方が、後からの差し替えは減ります。
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参考:時事通信「AI事業者は学習データ開示 政府、知財保護へ基本指針案」(2026年8月18日)/読売新聞「生成AI学習データの公開や権利者への開示など要求」(2026年8月18日)/東京商工リサーチ「2026年4月『生成AI』に関するアンケート調査」(2026年4月27日公表)/KPMGコンサルティング「AIの利活用・ガバナンス等の動向調査」(2026年7月発表、調査期間:2026年5月15〜19日)/大分商工会議所「売上アップと業務効率化を両立するSNS・デジタル活用実践セミナー」(2026年8月18日・21日開催)