情シス採用予定なしが74.3%。大分の社長がツールを買う前に確認すべき3つ
DXは進めたい。ただし、情報システム担当を正社員で増やす予定はない。大分の中小企業でも、この組み合わせは珍しくありません。SaaSや生成AIの案内は増える一方で、社内で選定・定着・トラブル対応を担う人は増えにくい。買う前に、誰が何を見るかを決めておくと、導入の失敗を減らせます。
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情シスは足りないのに採用しない。中小企業DXの全国調査
キーマンズネットが2026年8月7日に報じたジー・ブーン株式会社の調査は、中小企業の経営者2,254人を対象に、同年6月26日から27日に実施されたものです。自社の情報システム部門が人材不足だと答えた経営者は29.5%。そのうち、新たな正社員の採用予定がない割合は74.3%でした。内訳は「採用はしたいが現実的に難しく予定していない」が44.5%、「採用予定はない」が29.8%。採用する予定は25.7%にとどまります。
採用しない理由の首位は、不透明な経済情勢の下で固定費を増やしたくないという回答で43.9%。IT人材の高騰で予算内の採用が難しいが28.9%、情シスを直接利益を生まない管理コストと捉えているが18.6%と続きます。大分でも、足りないのは意欲より、固定費を増やす判断材料です。
それでも、人材不足かつ採用予定なしの経営者のうち57.9%は、DXを進める意向があります。人を増やさない進め方として多かったのは、導入しやすいITツール・SaaSの活用が42.3%、業務委託やフリーランスの活用が32.2%、既存社員の育成や配置転換が31.1%です。一方、そのリスクとして挙がったのは、専門知識不足で費用対効果の低いシステムを入れてしまうこと(42.7%)、日常の保守やトラブル対応が優先されてDXが形骸化すること(38.5%)、導入したツールが現場に定着しないこと(30.1%)でした。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2026」も、同じ方向を示しています。国内企業1,799社の調査で、AI導入の効果は業務の効率化・迅速化が91.6%、売上や利益の向上は3.9%。従業員101人以下のAI導入率は16.6%で、1,001人以上の78.3%と開きがあります。ツールを足しても、担い手が空いていなければ、効率化は出ても事業の数字には届きにくい構図です。
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人を増やさないDX。3つの進め方と向き不向き
人を雇わない前提でも、進め方は一つではありません。混ぜること自体は問題ではありません。先に「何を社内に残すか」が決まっていないと、SaaSの契約と外注が同時に増え、ひとり情シスの負荷だけが残ります。
項目:導入しやすいSaaS・生成AIツール
向く場面:見積書の下書き、勤怠、請求、問い合わせの一次整理など、手順が短い業務
強み:初期費用を抑えやすく、社長自身が試せる
弱み:選定と権限設計、現場への定着、解約判断を誰が見るかが曖昧だと、アカウントだけ増える
項目:業務委託・外部ディレクター
向く場面:要件の整理、ベンダーとの折衝、既存システムとのつなぎ、導入後90日の定着支援
強み:正社員の固定費を増やさずに、専門知識の穴を埋められる
弱み:丸投げすると社内に知見が残らない。保守とトラブル対応が再び社内に戻ってくる
項目:既存社員の育成・配置転換
向く場面:日常業務を知る人が、AIやITを業務に組み込む役割を持つとき
強み:自社の仕事の流れに合わせて使える。属人化を減らせる
弱み:本業の空き時間がなければ形骸化する。研修だけ受けて、対象業務が決まっていないと成果が見えない
大分県内では、株式会社大銀経済経営研究所と公益財団法人ハイパーネットワーク社会研究所が、県内企業向けの「DX/AI人材育成実践プログラム」を募集しています。全10回、2026年9月1日から2027年2月28日まで、会場は大分銀行宗麟館。定員は30名です。対象は、DXやAI活用、業務効率化、社員育成を進めたい企業。社内に担い手を置く方針なら、外部の長期プログラムは検討材料になります。ただし、受講者を決める前に「戻ってきたあと、どの業務を変えるか」が無いと、学びが個人のスキルで終わります。
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ツールを買う前に、大分の中小企業社長が確認すべき3つ
【1】増員しないなら、週何時間・誰が決裁するかを先に書く
人を増やさないDXで最初に崩れるのは、役割です。「情シスがやる」「現場が使う」だけでは、トラブル対応が日常を埋め、改善は後回しになります。調査でも、保守が優先されて形骸化する懸念は38.5%ありました。大分の中小企業では、社長兼IT担当、総務が兼任、外部に月数回、という形が現実的です。大切なのは肩書より、決めてよい範囲です。
- DXの一次窓口(氏名)と、週あたり確保する時間を書いた
- 月額5万円までのツール契約は誰が決めてよいか、超えたら誰の決裁かを決めた
- 障害時に止める判断と、顧客対応の優先順位を1枚にまとめた
時間がゼロの担当者にSaaSを渡しても、定着しません。週2時間でも枠を取れるなら、その時間で「新規ツールの検討」ではなく「いま動いている業務の詰まり」を見る方が、費用対効果は測りやすいです。
【2】最初に変える業務を1つに絞る。AIは効率化の道具として置く
人を増やさない会社がやりがちなのは、会計、顧客管理、生成AI、勤怠を同時に入れることです。調査が示す最大のリスクは、知識不足のまま費用対効果の低いシステムを選ぶこと(42.7%)です。最初の1本は、発生頻度が高く、失敗しても顧客影響が限定的で、今の担当者が手順を説明できる業務が向きます。例としては、見積もりの作成と承認、請求書の発行、日報の集約などです。
生成AIを足す場合も、全社一斉より、その1本の周辺からが安全です。見積もりのたたき台、メール返信案、会議メモの整理は、人が確認する前提で始められます。顧客情報や価格を無料の個人アカウントに貼らない、出力を誰が検算するかを決める。これだけで、シャドー利用と手戻りを減らせます。中小企業では、まずその1本の作業時間とミス件数を測る方が、投資判断に使えます。
- 今四半期に変える業務を1つだけ書いた(部署名と作業名)
- 成功の指標を「導入したか否か」ではなく、時間・ミス・手戻りで決めた
- 生成AIに入れてよい情報と、入れていけない情報を社内で共有した
【3】外注と育成の役割を分け、研修に出す前に宿題を決める
外注は悪ではありません。要件整理やベンダー選定、初期設定は、社内に知見が薄い領域です。一方、毎日の入力、例外対応、顧客への説明は社内に残した方が、後からの改善ができます。育成に振るなら、受講そのものが目的になりやすい点に注意してください。大分の実践プログラムは9月開始、定員30名です。申し込むなら、受講者の本業の空き、修了後に触る業務、社長が四半期で見る指標を先に決めた方が、30名の枠を活かせます。
- 外に出す仕事(選定・導入・折衝)と、社内に残す仕事(日常運用・例外判断)を分けた
- 育成する場合、受講者の週あたりの実務時間を確保した
- 90日後にやめる判断基準(使われない、時間が減らない、障害が増える)を書いた
株式会社コラボでは、社長の壁打ちとして、人を増やさない前提での役割分担と、最初の1本の選び方を一緒に整理しています。ツールの比較表を増やす前に、社内に残す仕事と外に出す仕事を言語化する場として使ってください。
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まとめ:一言で言うと
情シスが足りなくても、正社員を増やさない会社はすでに多数派に近いです。そのうえでDXを進めるなら、SaaSを足すほどに、担い手と対象業務と育成の宿題が先に要ります。大分でも外部の学びの場は増えています。買う・申し込むの前に、週何時間・どの業務・90日後のやめ方の3つを決めた方が、形骸化しにくいです。
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参考:キーマンズネット「DXはやる、情シスは増やさない――経営者はどう乗り切るつもりなのか」(2026年8月7日)/ジー・ブーン株式会社「中小企業の情報システム部門に関する実態調査」(調査日:2026年6月26〜27日、公表:2026年7月28日)/独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2026」調査ポイント(2026年7月16日公表)/TechTargetジャパン「効率化91.6%、でも売り上げ向上3.9%」(2026年7月23日)/おおいたAIテクノロジーセンター「DX/AI人材育成実践プログラム」案内(2026年6月12日掲載)