情報サービス業の倒産が10年で最多166件。開発を発注中の社長が、契約前に確認すべき3つのこと
「発注しているシステム会社が、ある日突然なくなったらどうしよう」——普段は考えないその不安を、裏づけるデータが出てきました。今まさにどこかへ開発を発注している、あるいはこれから発注を検討している社長にとって、他人事では済まない話です。
情報サービス業の倒産が過去10年で最多。何が起きているのか
東京商工リサーチの調査によると、2026年上半期(1〜6月)の「情報サービス業」の倒産は166件で、前年同期比18.5%増、2017年以降の過去10年間で最多を更新しました。
内訳を見ると、状況がより具体的に見えてきます。
- 資本金1千万円未満の事業者が107件(前年同期比21.5%増)と大半を占める
- 負債1億円未満の倒産が147件で、全体の88.5%を占める
- 地域別では関東が105件(同28.0%増)で最多、次いで近畿
つまり「大型のIT企業が経営破綻した」というより、「小・零細規模の開発会社・フリーランスに近い事業者が、静かに市場から退場している」というのが実態です。
背景として指摘されているのが、生成AIやノーコード・ローコードツールの普及です。簡易なホームページ制作やアプリ開発といった業務が内製化・自動化されやすくなり、価格の安さだけで受注していた小規模事業者ほど、価格競争に耐えられなくなっているとみられます。
なぜ地方の中小企業にとっても人ごとではないか
「うちは大分の会社だから関係ない」とは言い切れません。理由は2つあります。
1つは、地方の中小企業ほど、価格の安さを理由に個人事業主に近い小規模な開発会社へ発注しているケースが多いことです。都市部の大手に発注するより費用は抑えられますが、その分、事業継続性のリスクも高くなります。
もう1つは、大分・九州の地場IT企業も同じ淘汰圧力の中にいるということです。生成AIやノーコードツールの普及は全国一律に進んでいます。地方だから緩やかというわけではなく、むしろ受注規模が小さい分、価格競争の影響を受けやすい面もあります。
発注先が倒産すれば、開発中のシステムが未完成のまま止まる、ソースコードが引き渡されない、保守契約先を失うといった実害に直結します。特に基幹システムや顧客管理システムなど、日常業務に組み込まれているものほど打撃は大きくなります。
発注前・発注中の社長が今すぐ確認すべき3つのこと
すでに発注している会社がある場合も、これから発注を検討している場合も、次の3点は最低限確認しておきたいところです。
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| ①事業者の実態 | 資本金・従業員数・設立年数を把握しているか。個人事業主に近い体制で、担当者が1人しかいない状態になっていないか |
| ②契約書の中身 | 納品物(ソースコード・設計書)の著作権・引き渡し条項が明記されているか。倒産・廃業時の対応が契約に盛り込まれているか |
| ③保守・運用の継続性 | 開発会社が万一なくなった場合、別の会社が引き継げる状態か。ドキュメントやアカウント情報が自社側にも残っているか |
①事業者の実態を確認する
見積もりの安さだけで発注先を決めていないか、一度立ち止まって確認してください。特に「担当者と直接やり取りしているが、会社としての実態がよく分からない」というケースは要注意です。
②契約書でソースコードの引き渡しを明記する
意外と見落とされがちなのが、納品物の著作権・引き渡し条項です。口頭でのやり取りだけで進めている場合、いざという時にソースコードや設計書を受け取れず、開発をゼロからやり直すことになりかねません。
③自社側にも情報を残しておく
開発会社任せにせず、サーバーやドメインの管理権限、各種アカウント情報は自社側でも把握・管理しておくことが基本です。属人化した発注先ほど、突然の連絡途絶リスクが高くなります。
発注先の一極集中を避けるという選択肢
今回のデータが示しているのは、「安さだけで選ぶ発注」のリスクが上がっているという現実です。かといって、大手にしか発注できないわけではありません。
現実的な対策のひとつが、社内に発注・進行管理の目利き役を置く、あるいは外部のディレクターを間に立てることです。発注先の実態確認や契約内容のチェック、進行中の要件整理までを、発注側の立場で担ってもらうことで、特定の1社に運命を委ねる状態を避けられます。
コラボでは、大分の中小企業の開発案件について、発注前の要件整理から進行中のディレクション、既存の発注先との折衝まで、経営者・IT担当者に伴走する形で支援しています。「今の発注先で大丈夫か、一度整理したい」という段階からのご相談も可能です。
まとめ:安さだけで発注先を選ぶ時代は終わりつつある
情報サービス業の倒産が過去10年で最多となった背景には、生成AI・ノーコードツールの普及による価格競争の激化があります。発注側にとっては、価格だけでなく、事業者の実態・契約内容・保守継続性を見極める目が、これまで以上に必要になっています。
まずは今の発注先について、この3つのチェック項目を確認するところから始めてみてください。
参考:東京商工リサーチ「2026年上半期の『情報サービス業』倒産 166件 過去10年で最多」(2026年7月発表)