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食事補助の非課税枠が42年ぶりに倍増。大分の社長が今すぐ確認すべき3つのこと

タグ: 経営相談 / 中小企業 / 大分 / 福利厚生 / 賃上げ

「賃上げしたいけど原資がない」「昇給しても手取りがそこまで増えず、従業員の満足度に結びつかない」。そんな悩みを抱える社長にとって、見過ごせない制度改正が2026年4月から始まっています。食事補助の非課税枠が、実に42年ぶりに引き上げられました。


何が変わったのか。1984年から据え置かれていた上限が動いた

国税庁は2026年3月31日付で、食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額を引き上げる通達改正を公表しました。2025年12月26日に閣議決定された令和8年度税制改正大綱を経て正式に施行されたもので、適用は2026年4月1日以後に支給する食事からです。

項目改正前改正後
食事補助の非課税限度額(会社負担分)月3,500円月7,500円(税別)
深夜勤務者の夜食代(金銭支給)1回300円以下1回650円以下
従業員が50%以上負担する要件あり継続
現物支給(食券・社食等)である要件あり継続

月3,500円という上限は1984年(昭和59年)以来ずっと据え置かれてきました。1日あたりに換算すると175円ほどで、今のランチ相場にまるで合っていなかったものが、月20日勤務換算で1日あたり約375円まで拡大されたことになります。

なぜこれが賃上げより「効率のいい手取り改善」なのか

昇給は所得税と社会保険料の対象になるため、額面を増やしても従業員の手取りに反映されるのはその一部です。一方、非課税枠内の食事補助はそのまま可処分所得として従業員に届きます。会社側も福利厚生費として損金算入でき、社会保険料の会社負担も増えません。

具体的に比べると、その差がわかりやすくなります。

施策会社の年間コスト(目安)従業員の手取り増加(目安)
月7,500円の食事補助年間9万円ほぼ9万円分そのまま
同額を昇給で支給社会保険料の会社負担込みで年間10万円超税・社会保険料控除後で年間7万円程度

原資が限られる中小企業にとって、「同じコストでより多く従業員に届く」施策は貴重です。特に大分のように賃上げ圧力は強いが原資が乏しい地域の企業にとって、この改正は現実的な選択肢になり得ます。

見落としがちな3つの注意点

制度を正しく使うには、次の3点を押さえておく必要があります。

1つ目は、7,500円を超えると全額が課税対象になることです。超過分だけでなく、支給額全体が給与扱いになります。上限ぎりぎりを狙うより、余裕を持った設計が安全です。

2つ目は、従業員が費用の50%以上を負担する要件が変わっていないことです。たとえば700円のランチであれば、会社が補助できるのは最大350円まで。7,500円の非課税枠をフルに使うには、単価750円以上のランチを月20日利用してもらう、といった設計が必要になります。「700円のランチに200円補助」のような古い相場感のまま設計すると、せっかくの新しい枠を活かしきれません。

3つ目は、現金支給では非課税にならないことです。現物支給、つまり食券やICカード決済、食事補助アプリなど、支給の形が要件を満たしているかどうかを確認する必要があります。

大分の中小企業が今すぐやるべきこと

まず、就業規則や給与規程に食事補助に関する定めがあるかを確認してください。すでに食事補助を導入している会社も、旧上限の3,500円を前提にした規程のままになっているケースが少なくありません。

次に、自社の状況で7,500円枠をどこまで使えるかシミュレーションしてみることをおすすめします。従業員数、利用可能な飲食店の単価帯、勤務形態によって最適な設計は変わります。設置型の社食、食事券、決済アプリ型の食事補助サービスなど選択肢も複数あるため、自社の規模や地域の飲食店事情に合った形を選ぶことが重要です。

大分発の選択肢:ネオマルスの「GoSmart」という事例

決済アプリ型の食事補助サービスを検討する際、大分の企業であれば地元発のサービスも選択肢に入ります。コラボのグループ会社であるネオマルスが手がける「まちなか社員食堂GoSmart」は、従業員がスマホ決済で食事補助を利用できるサービスで、2023年のPM Awardで最優秀プロジェクト賞を受賞し、大分商工会議所も導入企業に名を連ねています。

一般的な設置型社食との違いは、加盟店を会社があらかじめ用意するのではなく、従業員自身が「使いたい店」をリクエストして加盟店を増やせる仕組みを持っている点です。従業員のランチ代が地元の飲食店にそのまま落ちるため、社内の福利厚生であると同時に、地域の飲食店を支える仕組みとしても機能します。現物支給の要件を満たしやすいアプリ決済型であることも、今回の非課税枠拡大とは相性がよいポイントです。

食事補助サービスの導入を検討する際は、こうした「加盟店の広がりやすさ」や「地域経済への波及」も比較軸に入れておくと、単なる制度対応にとどまらない選び方ができます。

そして、これを賃上げの代替と位置づけるのか、賃上げと併用するのかを経営判断として整理しておくことです。従業員への説明の仕方ひとつで、制度への納得感は大きく変わります。

なお、社食導入そのものに直接使える国の補助金は限定的です。設備投資を伴わない形の食事補助であれば、業務改善助成金や省力化投資補助金の対象にはなりにくいのが実情です。この改正の意義は「補助金」ではなく、「非課税枠という形での実質的な後押し」にあると捉えるのが正確です。


まとめ:昇給の前に、まず制度を使い切れているか確認を

食事補助の非課税枠が月7,500円に拡大されたことで、賃上げ以外の手取り改善策として現実味が増しました。ただし、50%負担要件や現物支給要件など、押さえるべき条件は変わっていません。就業規則の見直しと自社に合った補助設計が、この改正を活かす第一歩になります。


参考:国税庁「食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて」財務省「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日閣議決定)