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大分の最低賃金、2027年はいくらになるか。目安「56円」の先にある”先送り”を社長はどう読むか

タグ: 経営相談 / 中小企業 / 大分 / 最低賃金 / 地域経済

「今年はいくら上がるか」で頭がいっぱいの社長に、あえて聞きたいことがあります。2027年、2028年も同じペースで上がり続けるとしたら、その備えはできていますか。実は今、その前提そのものが動き始めています。


目安「56円」で見えてきた、大分の次の数字

厚生労働省の中央最低賃金審議会は2026年7月28日、2026年度の最低賃金改定の目安を取りまとめました。全国加重平均は55円引き上げの1,176円。都道府県は経済実態に応じてA・B・Cの3ランクに分かれており、大分はCランク(引き上げ額の目安56円)に区分されています。

目安どおりに進めば、大分県の最低賃金は現行の1,035円から1,091円前後になる計算です。ただし、ここで思い出しておきたい事実があります。前年度(2025年度)、大分地方最低賃金審議会は国の目安64円に対し、実際には81円という17円上回る答申を出しました。地域の実情を踏まえて目安を超える判断がされた前例がある以上、今年度も1,091円で収まる保証はありません。実際の答申は例年どおり8〜9月ごろに固まる見通しです。


なぜ「2027年」まで考える必要があるのか

ここで気になるのが、政府が掲げてきた「最低賃金1500円」という目標です。もともとは2020年代のうちに全国平均1,500円を達成する方針でしたが、2026年6月、政府はこの達成時期を「2030年代前半、できるだけ早く」へ先送りする方向で調整に入ったと報じられました。日本商工会議所など経済団体からは「2029年度までに1,500円を達成するには年7%超の引き上げが必要で、実態とかけ離れている」との声もあり、先送りの検討にはこうした反発を踏まえた面もあります。

裏を返せば、目標達成の年限が延びても「大幅な引き上げを続ける」という方向性そのものは変わっていないということです。この数年の推移を見ると、ペースの速さがよく分かります。

年度全国加重平均大分県
2024年度1,055円954円
2025年度1,121円(+66円)1,035円(+81円)
2026年度1,176円(目安、+55円)1,091円前後(目安、+56円)

先送りが正式に決まったとしても、2027年度・2028年度と、年50〜70円規模の引き上げが続く可能性は十分にあります。「今年だけ乗り切ればいい」という発想では、毎年同じ悩みを繰り返すことになりかねません。


単年の対応から、複数年の計画へ切り替える

目安が出るたびに一喜一憂し、その都度シフトや価格を調整する。これはこれで必要な対応ですが、それだけでは「毎年、後手に回る」状態から抜け出せません。2027年以降を見据えるなら、視点を変える必要があります。

1. 3〜5年スパンの人件費シミュレーションを持っておく

年50〜70円規模の引き上げが今後も続くと仮定し、3年後・5年後の人件費を試算しておきましょう。単年の増加額だけでなく、積み上がっていく総額を把握しておくことで、採用計画や店舗展開のペースを判断しやすくなります。

2. 設備投資・DX投資の「回収年数」を人件費の上昇ペースで見直す

省人化のための設備やシステムへの投資は、多くの場合、数年かけて回収する前提で計画されます。人件費の上昇ペースが速いほど、実は投資の回収は早まります。「まだ様子見でいい」と判断していた投資を、複数年の人件費見通しの上で再計算してみる価値があります。

3. 取引先との価格改定を「単年交渉」から「複数年のロードマップ」にする

毎年の交渉のたびにゼロから条件を切り出すのではなく、「今後3年は毎年これくらいのペースで人件費が上がる見込みなので、価格もこのペースで見直したい」とあらかじめ伝えておく。1回の値上げ交渉で終わらせず、複数年の合意形成に持ち込めれば、社長自身の交渉の負担も軽くなります。


まとめ:今年の56円より、2027年以降のペースを見ておく

大分県の最低賃金は、目安どおりでも1,091円前後、過去の実績を踏まえればそれ以上になる可能性もあります。ただ、本当に押さえておくべきなのは今年の数字そのものより、「1500円目標が先送りされてもなお、大幅な引き上げは続く」という方向性です。単年の対応に追われるのではなく、2027年、2028年を見据えた複数年の計画に切り替えることが、これからの数年を乗り切る鍵になります。

株式会社コラボ(大分市)の「壁打ちセッション」では、こうした複数年の人件費シミュレーションや価格改定ロードマップづくりも、社長と一緒に整理しています。今年の答申を待つ間に、来年・再来年の備えまで一度整理してみませんか。


参考:厚生労働省 中央最低賃金審議会「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安」(2026年7月28日公表)/日本経済新聞「最低賃金1500円、達成期限『30年代前半までに』」(2026年6月25日)/大分労働局・各種報道(大分県最低賃金の推移)