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原油高騰でも値上げできない。大分の中小企業の社長が今週やるべき3つのこと

タグ: 経営相談 / 壁打ち / 中小企業 / 大分 / 地域経済

「仕入れも燃料も上がっている。でも、得意先に値上げを切り出すのは怖い」——そんな板挟みの社長にとって、今週の大分のニュースは他人事ではありません。中東情勢の不透明感を背景にした原油・燃料の高騰が、県内の現場をじわじわと締め始めています。


大分の現場で何が起きているか

ここ数日の大分の地域ニュースを並べると、コスト高騰の影響が業種をまたいで広がっていることが見えてきます。原油の高騰を受けて、フェリーの減便、医療製品の出荷制限、温泉施設での値上げ検討といった影響が県内で報じられています。鶏肉の価格は過去最高値となり、からあげの店やスーパー、飼育現場でコスト増が広がっています。

背景にあるのは、中東情勢の緊迫化です。大分のコンビナートに進出する企業も、中東情勢の不透明さを意識しながら事業を進めている状況です。原油や燃料は、輸送・包装・加工・空調など、ほぼすべての業種のコストに乗ってくるため、「うちは石油と関係ない」という会社はほとんどありません。

さらに金融面でも局面が変わりつつあります。大分銀行は日本銀行の政策金利引き上げを受け、9月1日から普通預金の金利を0.4%へ引き上げると発表しました。預金者には朗報ですが、借入のある事業者にとっては、調達金利の上昇という逆向きの圧力が同時に進むことを意味します。

つまり大分の中小企業は、「コスト上昇」と「金利上昇」を同時に受ける局面に入りつつあるということです。


なぜ「値上げできない会社」から危なくなるのか

コストが上がること自体は、全国共通の話です。問題は、その上昇分を売値に乗せられるかどうかです。

全国データを見ると、この「価格転嫁」のハードルの高さがはっきり表れています。2025年度の企業倒産は1万425件と4年連続で増加し、2年連続で1万件を超えました。建設業は2041件で過去10年最多となっています。その根っこにあるのが転嫁力の弱さで、コスト上昇分を価格に転嫁できない中小零細企業の体力が限界に近づいており、価格転嫁率は42.1%にとどまっています。

倒産の中身も、単純な「売上不足」だけではありません。建設業では物価高による倒産247件、人手不足倒産112件、後継者難倒産123件が重なり、受注機会があっても事業を続けられないケースが増えています。

ここで見落とされがちなのが、「自社のコスト構造を月次で把握できていない会社ほど、交渉のテーブルにすら立てない」という点です。

よくある状態何が起きるか
原価が「だいたいこのくらい」でしか分からない値上げの根拠を示せず、交渉が感覚論になる
月次決算が2〜3か月遅れる利益が削れていることに気づくのが遅れる
資金繰りを通帳残高で判断している金利上昇・支払い増の影響が見えず、後手に回る

価格転嫁ができている会社は、たいてい「いつ・何が・いくら上がったか」を数字で説明できます。逆に言えば、コストの見える化は、値上げ交渉の準備そのものだということです。


製造・サービス業の社長が今週確認すべき3つのこと

カタログを見て設備投資を検討する前に、まず手元で確認できる3点があります。

1. コスト構造は「月次」で見えているか

原油・燃料の高騰は、仕入れだけでなく輸送費・包装費・光熱費に分散して効いてきます。だからこそ、「どの費目が、いつから、どれだけ上がったか」を月単位で追える状態が出発点になります。Excelでも構いませんが、複数拠点や複数事業があるなら、原価・売上・在庫を同じ粒度で見られるようデジタルでつないでおくと、交渉資料の作成も格段に楽になります。

2. 価格転嫁の「根拠資料」を取引先別に用意できているか

値上げ交渉は、感情ではなく数字で進めるほど通りやすくなります。「主要な原材料がこの期間に何%上がった」「燃料サーチャージ相当でいくら負担が増えた」を、取引先ごとに1枚で示せるようにしておく。国も価格交渉を促す仕組みを設けており、根拠を持って臨む会社ほど結果を出しやすい局面です。

3. 効率化投資の「優先順位」を決めているか

人手不足と金利上昇が同時に進む中では、「全部やる」は現実的ではありません。搬送・検査・事務処理など、工数を時間で測れる定型業務から、効果の大きいものを1つ選んで着手する。投資余力が限られるからこそ、「どこから手をつけるか」の優先順位づけが経営判断の肝になります。

今週できるチェックリスト

  • 直近3か月で、最も上がった費目を3つ書き出した
  • 主要取引先1社について、値上げの根拠を1枚にまとめられるか確認した
  • 借入の金利条件と、今後の返済額の見通しを確認した
  • 自動化・効率化したい業務を1つだけ特定した

大分の中小企業が取るべき選択肢

コスト高騰の局面で、すべての会社が同じ打ち手を取る必要はありません。現実的な進め方は、おおむね次のいずれかです。

選択肢A:まずコストと資金繰りを「見える化」する

設備投資の前に、原価・在庫・資金繰りの可視化から入る方法です。投資額を抑えながら、価格転嫁交渉の材料づくりにも直結します。地味ですが、最も効果が確実な一手です。

選択肢B:特定業務だけ効率化のパイロットを回す

事務処理や検査など、効果が測りやすい工程に絞り、数か月単位で効果を検証します。うまくいかなくても損失を限定でき、社内に「やれる」という感覚が残ります。

選択肢C:外部の壁打ち相手と打ち手の優先順位を整理する

「値上げ」「効率化」「投資」のどれから手をつけるかが決まらないまま動くと、時間も費用も分散しがちです。発注や交渉の前に、現状整理と優先順位づけを一緒に考えるパートナーを挟む方法もあります。


まとめ:下がるのを待つより、説明できる会社になる

原油高騰も金利上昇も、一社の努力で止められるものではありません。だからこそ、コントロールできるのは「自社のコストを数字で把握し、根拠を持って価格と効率化の判断ができる状態かどうか」です。

大分の現場では、コスト高と人手不足の圧力が確実に強まっています。下がるのを待つのではなく、今週、チェックリストの1項目だけでも社内で共有してみてください。それが、次の値上げ交渉と投資判断の精度を変えていきます。


参考:TOSオンライン(株式会社テレビ大分)大分のニュース(2026年6月)、NHK大分「コンビナート進出企業 中東情勢不透明も脱炭素化へ」(2026年6月)、帝国データバンク 2025年度企業倒産集計