居酒屋倒産、初めて100件超え。大分の飲食店経営者が「価格転嫁できない」まま倒れる前に確認すべき3つのこと
「客数はそこまで減っていないのに、利益がまったく残らない」。大分市内でも、そんな声を漏らす飲食店の社長が増えています。全国のデータを見ると、それは気のせいではなさそうです。
大分の飲食店経営者に突きつけられた「居酒屋倒産100件超え」というデータ
東京商工リサーチの調査によると、2026年上半期(1〜6月)の「飲食業」倒産は509件となり、1997年以降の30年間で初めて500件台に乗り、過去最多を更新しました。前年同期比では5.3%の増加です。
なかでも目を引くのが「居酒屋(酒場、ビヤホール)」の倒産で、118件と前年同期比31.1%増。統計を取り始めて以来、初めて100件を超えました。ラーメン店は36件(同44.0%増)、日本料理店も36件(同20.0%増)と、大分の商店街や繁華街でもよく見かける業態が軒並み苦戦しています。
大分市内でも、長年営業していた飲食店の閉店情報が地域情報サイトに次々と掲載されています。全国の数字は、決して都市部だけの話ではありません。
なぜ今、飲食業だけがこれほど倒れているのか
今回の調査で特に注目すべきは、倒産の「理由の中身」です。単なる売上不振ではなく、次の2つの要因が急増しています。
| 倒産理由 | 件数(2026年上半期) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 物価高倒産(食材・水道光熱費の高騰) | 86件 | 53.5%増(約1.5倍) |
| 人手不足倒産 | 36件 | 125.0%増(約2.2倍) |
| 飲食業倒産 全体 | 509件 | 5.3%増 |
つまり、客が離れて潰れているというより、「原価と人件費が先に上がり、それを価格に転嫁できないまま体力が尽きる」というパターンが急増しているのです。特に小規模・零細の飲食店ほど、値上げをすれば客足が遠のくのではという不安から価格転嫁に踏み切れず、コスト増を自己負担し続けてしまう傾向が強いと指摘されています。
大分は魚介や豊後牛など仕入れコストの変動を受けやすい業態も多く、原材料高・光熱費高・人手不足という三重苦は決して他人事ではありません。飲食業に限らず、原価と人件費が先に上がる構造は、卸売業や小売業、宿泊業など大分の地域経済を支える多くの業種に共通する課題です。実際、大分市内でも老舗の飲食店や個人経営の店舗の閉店情報が地域の開店・閉店まとめサイトに継続的に掲載されており、統計上の数字が身近な商店街の風景として現れ始めています。
大分の飲食店・小売店経営者が、倒産統計の「その先」に入る前に確認すべきこと
ここで大事なのは、「うちは大丈夫」で終わらせず、自社の状況を数字で確認することです。以下の3点を、まず社長自身がチェックしてみてください。
1. 値上げを「一律」ではなく「メニュー単位」で検討できているか
値上げというと全メニュー一律の値上げをイメージしがちですが、原価率の高いメニューだけを見直す、看板商品は据え置いてサイドメニューで調整する、といった部分的な価格転嫁のほうが客離れのリスクを抑えられるケースが多くあります。全品一律値上げか、据え置きかの二択で思考停止していないか、一度メニュー表を原価とともに見直してみる価値があります。
2. 人手不足を「採用」だけで解決しようとしていないか
倒産理由としての人手不足は、採用ができないことだけでなく、少人数でも回せるオペレーションに変えられていないことが根本にあるケースが少なくありません。券売機やモバイルオーダーの導入、仕込みの一部外注化など、IT・DXの力で「一人あたりの生産性」を上げる選択肢を検討したか、確認してみてください。
3. 「今の延長線上の経営」を続けるべきか、事業の立て直しを誰かと話したか
価格転嫁もオペレーション改善も、社長一人で抱え込んで判断していると、値上げのタイミングを逃したり、逆に無理な値上げで客離れを招いたりしがちです。数字を見せて壁打ちできる相手が社内にいない場合は、早めに外部の目を入れることも選択肢になります。
飲食業を含む中小企業の経営判断は、「なんとなく様子を見る」を続けるほど選択肢が狭まっていきます。コラボでは、社長の相談窓口・壁打ちセッションを通じて、値上げのタイミングや業務効率化の優先順位について、第三者の視点から整理するお手伝いをしています。数字をもとに冷静に判断したい経営者の方は、一度気軽にご相談ください。
まとめ:「客数」より先に「原価と人件費」を疑う
居酒屋倒産が初めて100件を超えたという事実は、大分の飲食店経営者にとって「値上げの先送り」がもはや安全策ではないことを示しています。物価高倒産・人手不足倒産という2つの急増要因は、飲食業に限らず大分の多くの中小企業に共通するリスクです。自社のメニュー原価とオペレーションを、この夏のうちに一度点検してみてください。
参考:東京商工リサーチ「2026年上半期『飲食業』倒産 過去最多の509件 居酒屋倒産が初の100件超、人手不足・物価高が課題」(2026年7月発表)