上半期の倒産5,335件、人手不足倒産は過去最多。大分の社長が「値上げできない・人が採れない」で潰れる前に確認すべき3つのこと
「売上はそこそこある。でも、原材料も人件費も上がり続けて、気づけば手元にお金が残らない」——そんな感覚を持っている社長は、決して少数派ではありません。数字がそれを裏づけています。
上半期の倒産は5,335件。増えているのは「不況型」ではない
帝国データバンクが2026年7月8日に発表した上半期(1〜6月)の倒産集計によると、全国の企業倒産件数は5,335件でした。前年同期の5,003件から6.6%増え、4年連続で前年を上回っています。2年連続で5,000件を超えた水準です。
注目すべきは、増えている倒産の「中身」です。かつての倒産といえば、売上が落ちて資金が回らなくなる、いわゆる不況型が中心でした。ところが今回の集計では、次の2つのタイプがそろって過去最多を更新しています。
| 倒産のタイプ | 2026年上半期の件数 | 特徴 |
|---|---|---|
| 物価高倒産 | 556件(過去最多を大幅更新) | 原材料・人件費・エネルギーなどのコスト上昇が引き金 |
| 人手不足倒産 | 227件(過去最多) | 採用難・従業員の離職・後継者不在で事業継続が困難に |
つまり、「売れない」のではなく「売れてもコストと人手で行き詰まる」会社が増えている、ということです。ここが今回のデータのいちばん重要なところだと考えています。
なぜ大分の中小企業にも関係するのか
「これは全国の話で、うちのような地方の会社には関係ない」と感じるかもしれません。ですが、大分も例外ではありません。
帝国データバンクの調査では、大分県の2025年の倒産発生率は0.46%で、4年連続で前年を上回り、直近10年間で最も高い水準になりました。倒産件数は74件、負債総額は約149億円で、4年ぶりに100億円を上回っています。全国と同じ流れが、地元でも確実に進んでいるということです。
さらに、物価高倒産の要因と、人手不足倒産の多い業種を見ると、大分の主力業種と重なる部分が目立ちます。
物価高倒産の要因内訳
物価高倒産556件のうち、要因として最も多かったのは「原材料」で255件、全体の45.9%を占めました。次いで「人件費」145件、「エネルギー」106件、「包装資材」86件と続きます。製造業や飲食、小売など、仕入れとエネルギーの比重が大きい業種ほど直撃を受けやすい構図です。
人手不足倒産の多い業種
人手不足倒産227件を業種別に見ると、「建設業」が65件で最多、次いで「サービス業」59件、「運輸・通信業」38件でした。いずれも大分の地域経済を支える業種であり、人が採れない・辞めてしまうことが直接、廃業や倒産につながっています。
大分の社長が今すぐ確認すべき3つのこと
数字を眺めて不安になって終わりでは意味がありません。ここからは、行き詰まる前に手元で確認できる、具体的な3つの論点に絞って整理します。
1. コストの上昇分を、価格にどこまで転嫁できているか
物価高倒産の根っこは、コストは上がったのに売価を上げられなかった、という一点に集約されます。まずは次を確認してください。
- 直近1年で、主要な仕入れ・原材料の単価はどれくらい上がったか(品目ごとに数字で把握しているか)
- その上昇分を、値上げや価格改定でどこまで回収できているか
- 「取引先に言い出しにくい」という理由だけで、据え置いている商品・サービスはないか
感覚ではなく、粗利率の推移を数字で追えているかが分かれ目です。ここが曖昧なまま「なんとなく厳しい」と走り続けると、気づいたときには手遅れになりがちです。
2. 「人が足りない」を、採用だけで解決しようとしていないか
人手不足倒産が過去最多という事実は、裏を返せば「採用で埋めきれない時代に入った」ということでもあります。募集をかけても人が来ない前提で、次の視点を持てているかを確認してください。
- 今の業務の中に、そもそも人がやらなくてよい定型作業(転記・入力・集計・問い合わせ対応など)はないか
- それは、ツールやAIで一部でも肩代わりできないか
- 属人化していて、その人が辞めたら回らなくなる仕事はどれか
「人を増やす」だけでなく「一人あたりの負担を減らす」方向の打ち手を持っているかが、これからの継続力を左右します。
3. 相談できる相手が、社内・社外にいるか
物価高も人手不足も、社長ひとりの頭の中だけで抱えると、判断が後ろ倒しになりがちです。値上げすべきか、設備投資すべきか、どの業務を効率化すべきか——こうした判断は、一度声に出して整理するだけで、優先順位がはっきりすることが少なくありません。
社内に番頭役がいない、金融機関や税理士には数字の話はできても打ち手の相談まではしにくい、という状態が続いているなら、それ自体がリスクです。
まとめ:一言で言うと
倒産の増加は「売れないから」ではなく、「コストと人手で行き詰まるから」に変わってきています。だからこそ、値上げの判断・業務の効率化・相談相手の確保という、事後ではなく事前に打てる手が効いてきます。
参考:帝国データバンク「倒産集計 2026年上半期報(1月〜6月)」2026年7月8日発表/帝国データバンク「大分県・倒産発生率調査(2025年)」2026年3月26日発表