IT・DX活用

AI積極活用層の67.7%が「使いこなせていない」。業務フローが変わったのは1.9%だけ

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ChatGPTも入れた。社内勉強会もやった。それでも「なんか使えている気がするが、会社全体の生産性は変わっていない」——大分の中小企業でも、こうしたモヤモヤが増えています。ツール導入の次の段階に入った会社ほど、答えが見えにくくなります。

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「使っている」のに伸び悩む。2026年の中小企業AIの実態

2026年7月、ラクスル株式会社が従業員2〜100名規模の中小企業300名を対象に実施したAI活用実態調査(第2回)が報じられました。注目すべきは、AIを積極的に使っている層に絞っても、67.7%が「使いこなせていない」と感じている点です。「非常に感じる」11.8%に「やや感じる」55.9%が加わった数字で、導入済み・利用中の会社でも、7割近くが手応え不足を抱えています。

同調査では、AIで生産性が上がったと答えた人の54.9%が「情報収集・文書作成など日常業務が速くなった」と回答。一方、「特定の業務を任せられるようになった」は4.3%、「業務フロー全体が変わった」はわずか1.9%でした。個人の作業が速くなった実感はあっても、会社としての仕組みが変わっていない——これが2026年時点の中小企業AIの輪郭です。

習得方法を見ると、「使いながら自然に覚えた」35.9%、「書籍・ネット記事で自己学習」27.7%、「YouTube・SNSで自己学習」27.7%と独学が中心。社内の詳しい同僚に教わったのは15.5%、社外の専門家に教わったのは2.3%にとどまります。87.3%が「思うような結果が出なかった」経験を持ち、理由の上位は「回答が思った通り出ない」(53.6%)、「プロンプトの出し方がわからない」(41.7%)でした。

大分県では8月にAI実装基盤「DAIB」が始動し、54社が会員登録するなど、地域でも動きが加速しています。ただ、プラットフォームが整っても、現場が「個人の時短」から「業務の仕組み化」へ進めない限り、調査が示す1.9%の壁は簡単には越えられません。

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個人効率化と組織変革の差。何が足りないのか

中小企業のAI活用で起きているのは、ツール不足ではなく「設計不足」に近い状態です。社員Aさんが議事録を速く作れるようになっても、議事録の承認フロー、顧客への共有ルール、ナレッジの蓄積方法が変わらなければ、会社全体の生産性は頭打ちになります。

調査が示す成果レベルの内訳は、次のとおり整理できます。

成果レベル:部分的な時短(日常業務が速くなった)
該当割合:54.9%
中小企業での意味:個人の作業時間削減。属人化しやすい

成果レベル:アウトプットの質向上
該当割合:36.4%
中小企業での意味:提案書・見積の精度向上。レビュー体制次第

成果レベル:業務の代替・自動化
該当割合:4.3%
中小企業での意味:特定工程の省力化。ルール設計が必要

成果レベル:業務フロー全体の変革
該当割合:1.9%
中小企業での意味:組織としての競争力変化。経営判断が伴う

求められる支援の上位は「すぐ使えるテンプレート集」(31.0%)、「個別サポート・相談窓口」(25.3%)、「同業者の活用事例集」(23.0%)。高額なシステムより、自社の業務に当てはめられる型と、試行錯誤を伴走してくれる相手が求められています。これは、コラボが現場でよく聞く声とも重なります。「AIの勉強会はしたが、どの業務から仕組みにするか決め切れない」「IT担当ひとりでは、経営と現場の橋渡しまで手が回らない」——導入の次は、こうした整理のフェーズです。

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個人の時短から抜け出す。大分の中小企業が確認すべき3つ

テンプレート集や動画学習は有効な入口です。ただ、1.9%の変革に近づくには、入口の先に「どの業務を、誰が、どう変えるか」の設計が必要です。次の3点を、経営と現場で一度棚卸ししてみてください。

  • 1. 変えたい業務を1つに絞れているか

見積下書き、問い合わせ一次対応、日報集計など、AIで時短できている作業のうち、月に何時間かかっているかを数字にします。全業務を一度に変えようとせず、効果が見えやすい1業務から「入力→AI→人の確認→記録」の流れを固定する。これがテンプレートを「個人の便利技」から「会社の型」に変える第一歩です。

  • 2. プロンプト以前に、業務の前提が共有されているか

調査では41.7%がプロンプトの出し方に困っています。実務では、プロンプト以前に「何を正とする情報源か」「誰が最終確認するか」が曖昧なケースが多いです。例えば、見積AIを使うなら、単価表・過去事例・禁止事項をどこに置くか。ルールが共有されていれば、社員ごとの試行錯誤は減り、再現性が上がります。

  • 3. 社内だけで完結させず、外の相手を1人入れるか

社外の専門家に教わったのは2.3%——極端に少ない数字です。大分のように専門人材が限られる地域ほど、月1回の壁打ちや、要件整理に詳しい外部ディレクターとのセッションが、投資対効果の高い選択肢になります。高額コンサルではなく、「この業務、AIでここまで自動化できるか一緒に線引きする」程度の伴走でも、独学87.3%の行き詰まりはかなり減らせます。

大分県のDAIBのような地域基盤は、専門家との接点を増やす入口として有用です。一方で、自社の業務フローに落とし込むのは結局、経営判断と現場設計の仕事です。入口と設計を混同しないことが大切です。

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まとめ:ツール導入の次は「型」と「伴走」のフェーズ

一言で言うと、中小企業のAI課題は「使っていない」から「使いこなせていない」「個人の時短で止まっている」へ移った、ということです。67.7%が手応え不足を感じ、業務フロー変革は1.9%——このギャップを埋めるのは、追加のツール契約より、1業務の型化と、外の相手を1人入れる伴走のほうが早いケースが多いです。

大分でAI・DXを進めるなら、まず社内で「いま時短できている作業リスト」を3つ書き出し、そのうち1つだけを来月までに仕組みにする——このくらいの具体性から始めるのが現実的です。

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参考:ラクスル株式会社「中小企業のAI活用に関する実態調査 第2回」プレスリリース、2026年7月23日