大分県の熱中症対策補助金、予算はわずか600万円。「グリーン認証」待ちで大分の社長が出遅れる前に確認すべき3つのこと
夏の現場で「スポットクーラーを人数分そろえたい」「空調服を導入したい」と思いながら、費用がネックで先送りにしていませんか。大分県が2026年7月24日、そんな事業者向けに熱中症対策の補助金の募集を始めました。ただし、この制度には気づかずに使い損ねる落とし穴が3つあります。
背景:罰則付きで義務化された「職場の熱中症対策」への費用の後押し
2025年6月、労働安全衛生規則が改正され、職場の熱中症対策が罰則付きで義務化されました。WBGT28度以上、または気温31度以上の環境で、継続1時間以上あるいは1日4時間を超える作業がある事業所は、熱中症の予兆を早期に把握する見守り体制の整備や、緊急時の連絡・搬送手順の策定と周知が義務となっています。厚生労働省の集計でも、職場での熱中症による死傷者は年間1,000人前後、死亡者も毎年30人規模で発生しており、他の労働災害と比べて死亡に至る割合が5〜6倍高いとされています。
とはいえ、義務化されたからといって、スポットクーラーや大型扇風機、空調服をすぐにそろえられる中小企業ばかりではありません。「必要性は分かっているが、費用の目処が立たない」というのが、多くの現場の本音ではないでしょうか。
こうした状況を受けて大分県が用意したのが「大分県暑熱対策事業費補助金」です。2026年7月24日付で募集が始まり、募集期間は2026年6月1日から2027年1月29日までとなっています。
補助内容を整理する:条件は決して緩くない
まず制度の中身を確認しておきましょう。
| 項目 | 通常枠 | 賃上げ枠 |
|---|---|---|
| 補助率 | 1/2以内 | 2/3以内 |
| 補助上限額 | 50万円 | 70万円 |
| 対象経費の下限 | 総事業費25万円以上 | 同左 |
| 追加要件 | なし | 直近1ヶ月の給与総額が、申請前の直近1ヶ月と比べて1.5%以上増加していること |
対象となる設備は、スポットクーラー、熱中症対策ブース、ミストシャワー、大型扇風機、ミストファン、空調服・水冷服などで、県内の事業所に設置するもの、または県内の作業場所で使うものに限られます。予算規模は600万円で、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用した事業として実施されます。
一見、使い勝手の良い制度に見えますが、実際に申請しようとすると3つの見落としやすいポイントがあります。
申請前に大分の社長が確認すべき3つのこと
1. 対象は「おおいたグリーン事業者」の認証を受けた事業者だけ
この補助金を受けるには、大分県の「おおいたグリーン事業者」認証(脱炭素部門またはサステナビリティ・リンク・ローン部門)を事前に取得している必要があります。認証を持っていない事業者は、熱中症対策の申請の前に、まず認証取得の手続きから始めなければなりません。「暑くなってきたから申請しよう」と思い立ってから慌てて認証を取ろうとすると、夏本番に間に合わない恐れがあります。まだ認証を取得していない場合は、対策設備の検討と並行して、今すぐ認証制度の要件を確認しておく必要があります。
2. 予算はわずか600万円。先着順で、なくなり次第終了する
この補助金の総予算は600万円です。仮に全員が上限70万円の賃上げ枠で申請したとすると、単純計算で10社に満たない規模の予算しかない計算になります。申請は先着順で受け付けられ、予算に達した時点で募集が終了します。「良い制度だから来月ゆっくり準備しよう」という悠長な姿勢では、気づいたときには終了しているおそれがあります。
3. 「交付決定」より前に設備を買うと、補助の対象から外れる
もっとも見落としやすいのがこの点です。県からの交付決定(申請から概ね3週間後に届く通知)が出る前に、設備の購入や工事の契約、着工をしてしまうと、補助金を受け取れなくなります。「申請書を提出したから、もう発注してよい」と思い込んで先に動いてしまうケースは、他の補助金でも頻発する典型的な失敗です。交付申請(書類を出すこと)と交付決定(県からの通知が届くこと)は別物だと、社内で明確に区別しておく必要があります。
まとめ:義務化された暑さ対策に、費用面で応える制度。ただし準備は早めに
大分県暑熱対策事業費補助金は、罰則付きで義務化された職場の熱中症対策を、費用面から後押ししてくれる制度です。ただし、事前の認証取得、600万円という限られた予算、交付決定のタイミングという3つの壁があり、思い立ってすぐに使える制度ではありません。
来夏も同様の暑さが続くことを見込むなら、今のうちに「おおいたグリーン事業者」認証の要件を確認し、設備投資の計画に組み込んでおくのが得策です。認証の取得から補助金の申請まで、自社だけで手続きの整理に時間を取られそうな場合は、外部の壁打ち相手に一度相談してみるのも一つの選択肢です。
参考:大分県ホームページ「【募集開始】おおいたグリーン事業者向け!大分県暑熱対策事業費補助金について」(2026年7月24日更新)