大分市のDX補助金、ホームページだけでは出せない。8月17日までに社長が確認すべき3つ
「補助金があるうちにホームページを作りたい」——大分市内の小規模事業者から、こうした相談は毎年この時期に増えます。ただし今年度の市の制度は、サイト構築だけでは申請できません。後期エントリーの締め切りは2026年8月17日(月)。残された日数は多くありません。
—-
大分市の後期エントリーは、今週月曜日まで
大分市は令和8年度「小規模事業者競争力強化支援事業補助金」の後期エントリーを、8月3日から17日まで受け付けています。対象は、大分市内に事業所がある小規模事業者です。卸売業・小売業・サービス業は常時使用する従業員が5人以下、宿泊業・娯楽業・製造業などその他は20人以下。創業から12か月を経過し、補助の対象になる事業も12か月営んでいること、市税の完納、前年度にこの補助金の交付を受けていないことが条件です。個人事業主も対象です。
国の「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金)とは別物です。市の制度は上限が数十万円と大きくありません。その代わり、会計ソフト、POS、Web広告、サイト改修を組み合わせて出す、いわゆる「現場の一段目」に向きます。エントリーが多ければ抽選です。交付決定の前に発注・契約・支払いをすると対象外になります。実績報告は事業終了後30日以内、ただし2027年2月26日までです。
申請の受付は9月28日から10月23日。いま必要なのはエントリーシートの提出です。紙を出して番号をもらい、枠は締め切り後に変えられません。DX推進枠と一般枠の両方に出しても、最後の1枠以外は無効です。別屋号でも、個人事業主のエントリーは1回限りです。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2026年7月16日に公表した「DX動向2026」では、国内1,799社のうち従業員101人以下の企業のAI導入率は16.6%でした。1,001人以上では約8割です。地方の店や工房が「まだ早い」と感じるのは自然です。一方で、補助があるからとツールだけ買うと、使われない仕組みが増えます。締め切りが近い今こそ、金額より先に、何の仕事を変えるかを決める番です。
—-
国の補助金と何が違うか。枠の中身を正直に並べる
市の制度は2枠です。エントリー時に枠を選び、締め切り後は変更できません。向き不向きを先に見ます。
枠の名前:DX推進枠
補助率:3分の2
上限額:40万円
向く用途:会計ソフト、キャッシュレス機器、POSレジ、券売機、ロボット、電子看板、ドローン、Web広告
注意:ホームページやECサイトの構築費は、他の経費と組み合わせたときだけ対象。サイトだけの申請はできない
枠の名前:一般枠
補助率:2分の1
上限額:30万円
向く用途:機械装置、紙の広報、旅費、開発、借料、委託・外注
注意:今年度からエアコンは対象外。専門家への謝金(コンサルティング料を含む)も対象外
見積が税込30万円を超える場合、市内業者を含む2者以上の見積が必要です。小切手と手形は使えません。DX推進枠で60万円以上の対象経費があれば上限の40万円、一般枠で60万円以上なら上限の30万円です。それ未満はそれぞれの補助率です。
IPAの同調査では、AI導入の効果として「業務が効率化したり迅速化した」が91.6%だった一方、「売上や利益が向上した」は3.9%でした。期待どおり、または期待以上と答えた企業は31.8%にとどまります。補助金でソフトを入れても、どの帳票が何分短くなるかを書いていなければ、効果は「入れた」で止まりやすい。市の手引きがサイト単独を認めていないのも、同じ理由だと読めます。サイトは公開して終わりではなく、広告や予約、会計とつながって初めて仕事が動く、という整理です。
ChatGPTなどの生成AIを契約する話と、この補助の対象は別です。対象になりやすいのは、会計ソフトやPOS、Web広告のように、日常の業務の形が残るものです。AIを使いたい場合も、「どの作業を誰が、何分減らすか」を先に言語化したほうが、枠選びを誤りにくくなります。
—-
申し込む前に、大分の小規模事業者が確認すべき3つ
見積や業者選びの前に、社内で次の3点を確認してください。エントリーシートは短くても、中身が空だと抽選後に止まります。
- 1. 対象者と枠の条件を、自分の会社で満たしているか
市内に事業所があるか。従業員数は小規模の定義に入るか。創業と対象事業がそれぞれ12か月を超えているか。前年度にこの補助金を受けていないか。ここが一つでも欠けると、後期に急いでも通りません。卸売・小売・サービスは5人以下、製造や宿泊は20人以下、という線引きも取り違えやすいです。IT担当がひとりの会社ほど、社長が数字を一度確認したほうが早いです。
- 2. ホームページ単独の申請になっていないか。何の仕事が何分減るかを書けているか
今年度の変更点の中心がここです。サイト構築費は、ソフト導入やWeb広告など他の経費との併用が前提です。「とりあえずホームページ」は、要件を満たしません。会計ソフトなら、手書きの売上帳をいつやめるか。POSなら、レジ締めと在庫の突き合わせを誰が何分で終わらせるか。Web広告なら、どの商品の問い合わせを増やしたいか。数字が粗くても、紙に一行書ける状態がエントリーの最低ラインです。書けないなら、枠を一般枠に変えるか、今期は見送りです。
- 3. 交付決定まで発注しない段取りと、導入後に毎日触る人を決めているか
申請から交付決定まで最長で約2か月かかることがあります。その前の発注は対象外です。業者に「今すぐ発注しないと間に合わない」と言われても、決定通知を待つのが原則です。もう一つは運用です。ソフトを入れたあと、誰が毎日入力するかが決まっていない導入は、勉強会のあとと同じく個人の工夫で終わります。IT担当が兼務の会社では、入力する人と、止まったときに聞く相手を先に名前で決めてください。
大分のように専門人材が限られる地域では、申請書を埋める前に、外の相手と壁打ちしたほうが早いケースが多いです。コラボが現場で聞くときも、最初の問いは「何を買いたいか」より「いま、どの仕事が手書きと電話で止まっているか」です。そこが言語化できていれば、枠選びも、国の補助金との使い分けも、失敗しにくくなります。締め切りが近い場合は、まずエントリーの可否だけ切り分け、中身の設計は番号が届いてからでも間に合います。
—-
まとめ:補助金は買う理由ではなく、仕事を変えるための期限
一言で言うと、この補助金はホームページ代ではなく、日常の仕事の形を一段変えるための期限です。後期エントリーは8月17日まで。サイト単独では出せず、決定前の発注も対象外です。対象者と枠、減らす作業、導入後に触る人の3点を紙に書いてから出してください。そこまでできていれば、40万円の枠は小さくても、使ったあとが残ります。
—-
参考:大分市「小規模事業者競争力強化支援事業補助金」(令和8年度、ページ更新2026年4月14日)。大分まちなか.com、2026年8月10日。IPA「DX動向2026」調査ポイント公表、2026年7月16日。