IT・DX活用

生成AI、効果実感は86.7%なのに社員格差は18.8%。大分の社長が”使いこなし”の前に決めるべき3つのルール

タグ: DX / AI活用 / 中小企業 / 大分 / IT担当

「生成AIを入れてみたら、便利に使う社員と、まったく触らない社員に分かれてしまった」——最近、大分の社長からよくいただく相談です。効果は出ているはずなのに、なぜか社内の温度差だけが広がっていく。今回はその正体を、最新の全国調査データから読み解きます。


生成AI「活用企業34.5%」の裏にある規模格差

帝国データバンクが2026年3月に実施した「生成AIに関する企業の動向調査」(対象2万3,349社、回答1万312社)によると、生成AIを業務で「活用している」企業は全体の34.5%でした。うち活用企業の86.7%が「業務への効果が出ている」と回答しており、数字だけ見れば生成AIはすでに”効果が実証された道具”と言えます。

ただし、この34.5%という数字は規模によって大きく割れています。

企業規模活用している割合
大企業(1,000人超)63.6%
中小企業32.4%
小規模企業(5人以下)28.0%〜29.6%

大分の中小企業の多くが該当する「小規模企業」層では、まだ3社に2社が本格活用にたどり着いていません。人手が限られているからこそ生成AIの恩恵は大きいはずなのに、「入れるかどうか」の段階で足踏みしている会社が依然として多いのが実態です。

使いこなせる社員と、使えない社員の差が広がる18.8%

今回の調査で注目すべきは、”導入した後”に起きている問題です。活用企業に悪影響やトラブルを尋ねたところ、最多は「悪影響やトラブルはない」(67.7%)でしたが、次に多かったのが「AIを使いこなせる社員と使いこなせない社員の間で、能力や成果の格差が拡大した」で18.8%。大企業に限ると23.6%まで上昇します。

さらに、活用にあたっての懸念・課題(3つまでの複数回答)は次の順でした。

順位懸念・課題割合
1位情報の正確性50.4%
2位専門人材・ノウハウ不足41.3%
3位活用すべき業務の範囲が不明確40.0%
4位情報漏洩のリスク33.5%
5位トラブル時の責任所在などルール整備25.5%

つまり企業が今直面しているのは「入れるかどうか」ではなく、「入れたあと、どう社内に定着させるか」という運用の問題です。主な活用業務は「文章の作成・要約・校正」(45.1%)が突出しており、判断そのものをAIに任せるというより、判断の手前の作業を効率化する使い方が中心。だからこそ、使う人と使わない人の差がそのまま業務スピードの差になって表れやすいのです。

大分の社長が”使いこなし格差”を防ぐために決めるべき3つのルール

格差が広がる会社と、広がらない会社の違いは、ツールの性能ではなく「使い方のルールを先に決めているかどうか」にあります。

1. 使ってよい業務の範囲を先に線引きする

「情報収集」「文章の下書き」「議事録の整理」など、まず任せる業務を1〜2個に絞り込みます。範囲が曖昧なまま全社に開放すると、得意な社員だけが自己流で活用範囲を広げ、格差が固定化します。

2. 最終確認は必ず人が行うと明文化する

懸念のトップは「情報の正確性」(50.4%)でした。AIの出力を鵜呑みにしない、という当たり前のルールほど、明文化しないと現場では徹底されません。契約書や顧客向け文書など、間違いが損害に直結する業務ほど、確認の担当者と手順を決めておく必要があります。

3. 使い方を共有する場を月1回でもつくる

使いこなせる社員のノウハウが個人に閉じている会社ほど、格差が広がります。逆に、成功事例を共有する場を定期的に設けている会社では、格差が徐々に縮まる傾向があります。特別な研修でなくても、朝礼やチャットでの共有だけで十分効果があります。

これらは特別な予算がなくても、社長が「決める」だけで始められることばかりです。実際、調査でも小規模企業の29.7%が「大いに効果が出ている」と回答し、大企業の20.8%を上回っています。人数が少ない会社ほど、ルールさえ整えば効果を出しやすいということです。

導入前チェックリスト

自社の状況を、次の4項目で確認してみてください。

  • 生成AIを使ってよい業務の範囲を、社長または責任者が決めているか
  • AIの出力を誰が最終確認するか、担当と手順が決まっているか
  • 顧客情報や取引先の機密情報を入力しない、というルールを共有しているか
  • 使い方のコツを共有する場(月1回程度)があるか

4つのうち2つ以上が「決まっていない」場合は、ツールを増やす前に、まず社内のルールづくりから着手することをおすすめします。せっかく効果が出る道具を導入しても、ルールが後回しになると、使いこなせる社員だけが得をする状態が固定化してしまうためです。

まとめ:ツールより先に、社内のルールを決める

生成AIの活用企業の86.7%が効果を実感している一方、使いこなせる社員とそうでない社員の差は18.8%まで広がっています。差が生まれる原因は能力ではなく、「どこまで使ってよいか」「誰が最終確認するか」というルールの有無です。まずは自社にとっての小さな一歩——1つの業務、1つの確認ルール——から決めてみてはいかがでしょうか。ルールづくりや自社に合った活用範囲の整理でお悩みの際は、コラボの経営相談・壁打ちセッションもぜひご活用ください。


参考:株式会社帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」(2026年5月14日発表)