DXの”本丸”まで進めた企業はわずか2.8%。大分の社長が「導入した」で満足していないか確認すべき3つのこと
「うちもAIを入れた」「クラウド会計にした」「チャットツールを導入した」——そこまでやって、ふと手が止まっていないでしょうか。ツールは入れたのに、経営の数字も現場の負担も、思ったほど変わっていない。実はその感覚、大分の社長だけが感じているものではありません。
DXの”本丸”に着いた企業は、全国でわずか2.8%
中小企業庁が公表した2026年版中小企業白書によると、DXの進み方には4つの段階があります。第1段階は紙や口頭中心の状態、第2段階は個別業務のデジタル化、第3段階は部門をまたいだデータ活用、そして第4段階が「デジタル化によってビジネスモデル自体を変革し、競争力を強化している状態」です。
この最終段階、いわば”DXの本丸”に到達していると回答した企業は、全国でわずか2.8%にとどまりました。裏を返せば、97%以上の企業は「ツールを入れた」「一部の業務が楽になった」という第2段階前後で足踏みしているということです。
大分のような地方の中小企業であればなおさら、システム担当者は社長ひとり、あるいは総務が兼任というケースも珍しくありません。全国平均でこの数字なら、地方の実感としては「導入しただけで終わっている」会社の方が多いと考えるのが自然でしょう。
ここで誤解してはいけないのは、「本丸に到達していない=失敗」ではないということです。第2段階、第3段階でも、業務が楽になった、ミスが減ったという実感があれば、それは立派な成果です。問題なのは、そこで歩みを止めたまま「うちはDXが終わった」と考えてしまうことです。白書が示しているのは、多くの企業がまだ”通過点”にいるという現実であり、それに気づけるかどうかが次の一手を左右します。
なぜ止まるのか——AI活用の”見えない壁”をデータで見る
同白書では、中小企業がAI活用を進める際の課題も具体的な数字で示されています。
| 課題 | 回答割合 |
|---|---|
| 活用する業務がイメージできていない | 63.4% |
| 推進する人材が不足している | 40.0% |
| 導入コストが負担 | ※上位2項目より低い水準 |
注目すべきは、最大の壁が「コスト」ではなく「イメージできていないこと」だという点です。予算がないから進まないのではなく、そもそも自社のどの業務にどう使えばいいのか、社内で誰も具体的に描けていない。これが実態です。
一方で、白書はもう一つ重要なデータを示しています。社内でITツール活用の研修や勉強会を実施した企業のうち、91.4%が「想定した効果が得られた、またはそれを超えた」と回答しているのです。つまり、ツールそのものより「使い方を学ぶ機会があったかどうか」が、成果を分ける最大の要因になっています。
大分の中小企業に置き換えると、これは希望のあるデータでもあります。大きな予算をかけて最新システムを入れ替えなくても、今あるツールの使い方を社内で共有するだけで、効果を感じられる可能性が高いということだからです。
逆に言えば、「AIを入れたのに社員が使ってくれない」「クラウド会計を導入したのに結局エクセルに戻ってしまった」という悩みの多くは、ツール選びの失敗ではなく、使い方を共有する機会がなかっただけ、というケースが少なくありません。高いツールに入れ替える前に、今のツールを使いこなす機会を作れているかを振り返る方が、投資対効果としては合理的です。
大分の中小企業が「導入止まり」を抜け出すためにできること
ここまでのデータを踏まえると、社長がまず確認すべきことは次の3つに整理できます。
- 今使っているツール(AI・クラウド会計・チャット等)を、全社員が「何のために使うか」を言葉で説明できるか
- 業務改善を推進する担当者が、ひとりでも明確に決まっているか(社長兼任でも可)
- 直近半年以内に、使い方を共有する研修や勉強会を一度でも実施したか
この3つに「はい」と即答できなければ、それは白書が指摘する「導入はしたが本丸には届いていない」企業の典型です。
研修は「全社一斉」より「小さく始めて広げる」
いきなり全社研修を組む必要はありません。まずは一部門・数名で「この業務にこう使う」という成功例を1つ作り、それを社内で共有する方が、負担も少なく効果も出やすいというのが実務的な感覚です。小さな成功体験が、63.4%が挙げた「イメージできない」という壁を崩す一番の近道になります。
推進人材がいないなら、社外の壁打ち相手を使う
社内に「DXを引っ張る人材」がいない会社が多いのも事実です。求人を出しても地方では応募が集まりにくく、育成しようにも教える側にノウハウがない、というのが多くの大分の中小企業の実情ではないでしょうか。
だからといって諦める必要はありません。無理に採用や育成から始めるのではなく、外部の専門家と定期的に壁打ちをしながら、自社の業務に合った優先順位を一緒に整理していくという選択肢もあります。コラボの「社長の相談窓口」は、まさにこうした”何から手をつけるべきか分からない”段階の整理を、月額または1回単位でお手伝いしています。社内に人材を置く前段階として、まず外部の視点で現状を棚卸しするだけでも、次の一歩は見えやすくなります。
まとめ:ツールを入れることより、使い方を学ぶ機会を作ることが本丸への近道
DXの本丸まで到達している企業は、全国でも2.8%しかありません。大分の中小企業がこの少数派に入るために必要なのは、大きな追加投資ではなく、今あるツールの使い方を社内で共有する小さな一歩です。「導入した」で止まっていないか、まずは3つの確認から始めてみてください。
参考:経済産業省 中小企業庁「2026年版中小企業白書・小規模企業白書」(2026年4月24日公表、2026年7月17日更新)