IT・DX活用

「AIファースト」と言われても、実現できた会社は10社に1社。大分の中小企業が”検討だけ”で終わらないための3つの確認

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「うちもそろそろAIを本格的に」——そう考えて情報だけは集めている社長は多いはずです。ですが、集めた情報が「検討」で止まったまま1年が過ぎていないでしょうか。


「AIファースト」を検討する企業は75.9%、でも実現は10.1%

三菱総合研究所が2026年6月29日に公表した「日本企業のDX推進状況調査」で、少し立ち止まって考えたくなる数字が出ました。

社内でAIを事業の中心に据える「AIファースト」の検討を始めた企業は、全体の75.9%。4社に3社が動き出しています。ところが、AI活用が全社の標準として根づき、主要な業務やサービスに深く組み込まれた「実現」の段階まで到達した企業は、わずか10.1%。つまり10社に1社です。

「検討」と「実現」の間には、それだけ大きな谷があります。そしてこの谷は、経営資源に余裕のある大企業ほど渡りやすく、人も金も時間も限られる中小企業ほど渡りにくい、という現実があります。

この調査は売上高100億円以上の比較的規模の大きい企業が対象です。それでも実現は1割。中小企業ではさらに厳しい、と考えるのが自然でしょう。

データで見る「検討」と「実現」の谷

中小企業側のデータも合わせて見ると、格差の輪郭がはっきりします。

調査(発表時期)指標数値
中小企業基盤整備機構(2026年3月)中小企業のAI導入率20.4%
中小企業基盤整備機構(2026年3月)導入を検討中18.6%
東京商工リサーチ(2026年)大企業の生成AI活用推進率約59%
東京商工リサーチ(2026年)中小企業の生成AI活用推進率約30%
三菱総合研究所(2026年6月)「AIファースト」実現層10.1%

大企業と中小企業の生成AI活用には、約30ポイントの開きがあります。導入している中小企業でも「入れてはみたが実感がない」という声は少なくありません。実際、DXやAIの効果を「実感していない」とする回答が7割を超えたという別の調査もあります。

なぜ「検討」で止まるのか。三菱総研の調査は、ひとつの答えを示しています。AI活用を成果につなげるには「経営資源の再配分」——お金・人・時間を既存の業務から新しい領域へ振り向けること——が必要だが、その意思があり実行までしている企業はたった6.8%。「意思はあるが実行できていない」が36.9%を占めます。

多くの会社は、AIを”今のやり方に足すもの”として捉えています。ですが実現した会社は、”何かをやめて、その分をAIに振り向ける”判断をしている。ここが分かれ道です。

大分の社長が”検討だけ”で終わらないための3つの確認

では、10社に1社の側に入るには何を確認すればよいのか。難しいツール選びの前に、経営の意思決定として押さえる3点を挙げます。

確認1:AIで「やめること」を1つ決めているか

新しく足すことは誰でも考えます。ですが実現した会社は、AIに任せる代わりに人手でやっていた作業を1つやめています。見積書の下書き、議事録の整理、問い合わせの一次対応——「これはもう人がやらなくていい」と決めた業務がありますか。やめることを決めていないAI導入は、現場の仕事が増えるだけで終わりがちです。

確認2:担当と予算を「名指し」できているか

「全社でDX」という号令は、多くの場合どこにも着地しません。誰が旗を振り、いくらの予算で、いつまでに何を試すのか。この4点を名指しで言えるかどうかが、検討と実現を分けます。専任でなくても構いません。兼任でも「この人が責任者」と決まっているだけで前に進みます。

確認3:小さく試して「効果を数字で」見ているか

いきなり全社導入を狙うと、たいてい途中で止まります。まず1業務・1チームで2週間試し、削れた時間や件数を数字で測る。効果が出れば広げ、出なければ次を試す。この小さな実証のサイクルを回している会社が、結局いちばん早く実現にたどり着きます。補助金を使えば、この最初の実証コストは大きく下げられます。

以下は、そのまま自社に当てはめて使えるチェックリストです。

  • AIに任せて「人がやめる業務」を1つ以上決めている
  • 責任者を名前で言える(兼任でも可)
  • 今期の予算枠を決めている
  • まず1業務・1チームで試す範囲を決めている
  • 効果を測る数字(時間・件数など)を決めている

5つのうち3つ以上に「いいえ」がつくなら、それはまだ「検討」の段階です。裏を返せば、この5つを埋めるだけで実現側の1割に近づけます。

まとめ:(一言で言うと)

「AIファースト」を実現できた会社は10社に1社。差を生むのは、ツールではなく「やめること・担当・予算・小さな実証」を決めきれるかどうかです。まずは5つのチェックから、自社が検討側か実現側かを見極めてみてください。


参考:三菱総合研究所「日本企業のDX推進状況調査結果【2026年度版】」2026年6月29日公表/中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」2026年3月/東京商工リサーチ 生成AI導入に関する調査 2026年